コミュ障の自分心中

コミュ障で自分を変えようと必死でやってきて、自分は変えられないという結論に至る。そうであればこのままの自分のまま死ぬまで付き合おう、心中してやろう!って男の日記です。

生涯投資家

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この本の著者は、私の認識としては、数年前に一世風靡した村上ファンドの親玉、村上世彰である。

あんまりいい印象はなかった。
一方、あんまりいい印象はないが、具体的に何で印象が悪いのかは明確ではない。単純に、株主として会社を乗っ取る人、倫理観に乏しい人、との認識しかなかった。しかし、具体的に何で非難されたか、逮捕されたかわかってないのに強い印象を持っていた。

そんな村上さんがいろんな思いを込めて自分の事を書いた本。

どんな内容か読んでみました。

正直最初の二章ぐらいは読むのが苦痛でした。証券取引で財を成した村上さわのお父さんとの会話。お金を中心にしか考えられない人たちなんだなと感じられてしまい、好んで読み進めれませんでした。

でもだんだん、村上さんの考えがわかってきました。彼は徹底して、
株式会社は持っている資産を効果的に活用してほしい。これに尽きる。
彼の考えは本当に一貫していました。
株式会社にする事は、株主から資金を調達するという事。そうであれば株主に利益を最大限に還元すべきで、内部留保なんてもっての他。また、資産に見合った利益を出すべきで出せないなら資産を縮小させる。そのやり方に関して株主として口を出させてもらう。
それがダメなら、上場しないか、自社株を買い上げて、上場を辞める。外部資金が必要ないなら上場しないほうがいい。

要するに、ルールがあって株式があるので、そのルールを徹底的に守りましょう。そのルールの上で活動しよう。と徹底して考えている。

村上さんが重視している指標は、PBRとROE
PBRとは一株あたりの純資産割合。これが1を切るという事は、あるべき姿からおかしくなっているという事。例えばPBR0.5の場合、その株を買って、もし会社がすぐに倒産したら、その株の二倍の価格の資産を手に入れれるという事。これはおかしい。
でもそんな不健全な事が日本ではよく起きている。例えば、日本放送の株は価格の割に資産価値が異常に高かった。
その原因は子会社のフジテレビから新社屋を立てるのにあたり、資金が必要になり、上場する必要が発生した。一方、上場する場合、親会社も上場する必要があり、無理やり日本放送も上場させられた。この頃、日本放送はフジテレビの親会社であったが、テレビのメディアの価値が上がり、事実上、立場が逆転しており、上場に対して断る事はできなかった。
そのため、日本放送の株式価値は、フジテレビの議決権も包括しており、それ故に日本放送の株式総額に対して、異常に高い資産価値を保有することになってしまった。
その、異常さを解消しようと思ったのが、村上さん。あのホリエモンの騒動の数年前から村上さんは異常事態に気がついていて、それを是正しようとしていた。まずは日本放送の株式を5%購入して発言権を得て、このひずんでいるフジサンケイグループ(日本放送、フジテレビ、産経新聞)と話し合うことに。
しかし、三社ともお互いを嫌っていて、話が進まない。みんな、日本放送が買収されるとやばくなる状況は村上さんからの指摘で分かってはいたが、お互いのプライドが折り合いをつけるのに邪魔してしまった。
そんな中、ホリエモンが登場。ホリエモンもこの状況を理解して、日本放送を買収する計画を立てる。そして、株式保有率の高い村上ファンドの村上さんに日本放送の株式保有している外国人を紹介してほしいと連絡を受ける。
村上さん的にはホリエモンの資金力を知っており、買う事は不可能のと思っていたが、インサイダー情報として社内にあげて、これ以上日本放送の株を買わないように決めた。

あとは知っての通りで、ホリエモンは日本放送の株式買収に乗り出す。資金調達法も突拍子もないやり方でかき集めた。結果は、フジサンケイグループの資産を第三者に売る事で株の旨味を消す事で事態を収拾した。

これは、会社を守る事、役員を守ることになり、株主を守ることにならないため、村上さん的にはひどく残念に思ったらしい。

そして、ホリエモンの電話のせいで、村上さんインサイダー取引で逮捕。社内的にちゃんと手順を踏んだにもかかわらずだ。
判決としてもインサイダー取引は焦点にならず、
(ファンドなら安く買って高く買うという姿勢はわかるが、このような利益徹底主義は愕然とさせられる。)
との事で逮捕だそうです。

村上さんは徹底して、上場企業なら利益を出すべきで、出せないなら株主の話を聞く事。確かにいろんな事例を見ると、利益を上げれないのはガバナンス(統治)が上手くいっていない場合が多い。ようは、ぬるま湯に浸かった役員たちが自分の利益を守るために走る事が諸悪の根源となる。

株主も入り、ガバナンスを見直す事で会社は正常化できる。村上さんはこの事をただ徹底的にしていただけ。
ただし、自分の信念を貫く事が、お金を増やすことと一致してしまったのが彼の不幸だと思う。お金を増やす事ではなく、株式を健全化する事で社会の役に立とうとしていた姿がこの本から見えていた。

そして、徹底的に哲学を曲げない姿は、心打たれました。なんであれ、物心ついたときに築き上げた哲学を曲げない事は大切なんだと学びました。

 

 

 

 

 

 

 

 

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