幸福洗脳 1-2回
オリエンタルラジオの中田敦彦がオールナイトニッポンを始動した。
俺は日本のアリババになりたい。
スラムダンクのようにこのラジオを終わらせたい。
30代の男性のみをターゲットにして、それ以外の層に関しては知ったことではない。
これが彼のコンセプトらしい。
正直なところ、私の中田さんへの印象は最初のころはナイナイのオールナイトニッポンで、ナイナイさんのラジオにあこがれていました!という青年であり、最近では自分の本音を言うことが正義と思い込んでいる人間という感じでした。
そんな状況で、たまたま目についてラジオを聴き始めることになりました。
ラジオを聴いてかなり衝撃を受けました。
芸人の在り方を中田さんなりに解釈して全力投球したという彼の発言が、ウソ無く100%本気でやっているなと感じました。
外枠だけ説明すれば、オリジナルのブランドTシャツ「幸福洗脳」と書かれたものを1万円で売るという事を面白がるといった内容。こんなTシャツを1万円も出して買うことが、売ることが滑稽であり、常軌を逸しているだろ。だから面白いんだよということなんだと思います。
ただし、ここで本当に面白いのは手の内を一部の人に明かし、かつ手の内を知らない人の驚きの顔を楽しむことを共有しようという悪趣味に似たエンターテイメントだと思う。カイジというアニメを知っている人にしかわからない表現だが、命を懸けて高層で鉄橋綱渡りをする人を見る悪趣味な人間側に立ってその悪趣味を楽しもうぜというラジオ。
今回、幸福洗脳という文字の入った、ふつう安くても買わないであろうTシャツを1万円で売ろうとしている。その価値はデザインではなく、体験を共有するということに重きを置いている。このTシャツを買ってインスタやツイッターに上げることでアピールでき、体験を共有できる。その体験も混みすることで価値がつく。また、以下作戦でブランド価値を上げようとしている。
・幸福洗脳という曲を出す
・幸福洗脳という漫画を出す
・幸福洗脳Tシャツを着たtiktokkerを生み出す
いつの間にか、幸福洗脳というブランドが先行し、そののちTシャツに目が行くようにいろんなことを仕掛けようとしている。何より面白いのが、その手の内をしけける前にリスナーと共有することだ。そのため、ブランドが成功した結果だけを見て驚く人とその過程をにやにやしながら楽しむリスナーという2層構造を作り上げようとしている。
普通Tシャツを売るだけなら手の内はさらさなくてもいい。仕掛けの内容は説明してもいいが、その心を説明する必要はない。ここで、その心を説明する意味は、それを含めて悪趣味なにやにやをお笑いとして楽しもうぜ!という心意気が見えてくる。
彼はラジオで、日本のアリババになりたいといった。アリババはほしいものをジャストインタイムで供給できる会社になっている。服がほしいならすぐに届け、お寿司が食べたくてもすぐに届ける。幸福洗脳ブランドは、どんなデザインでもすぐに作れる体制をとっており、ラジオで膨れたアイデアをすぐに商品に反映できる。リスナーがほしいもの、思いついたものをすぐに供給できる。これが日本のアリババという意味らしい。
しかし、私的にはアイデアややり方、攻め方をリスナーと共有させて共犯にさせて悪趣味のように笑うこのシステムを本気で作り上げた彼がすごいと思った。
1点だけ不満点がある。
彼は立川談志のようにわがままになることを良しとしている。
そのわりに、「ここで曲かけるんでしたっけ?」と素に戻ってディレクターに確認とる場面がありここが非常に萎える。プロレスでいいからここは、「曲をかけるにきまってるんだろ!聞くなよ、ばかやろー!」ぐらい喧嘩腰でラジオを進めてもらえたら100点ですね!